先日、プロゴルファーとパーソナル契約し、1シーズン共通の目標に向けて、一緒に活動させて頂きました。
残念ながら、ご家庭の事情でゴルフを第一優先とする生活ではなくなり、契約解除となりました。
そのことについて書きます。
はじめに
はじめにお会いしたのは、手をケガしていて休んでいる期間にどうしたらいいか相談でした。
手首を損傷してしばらくクラブを握ってないとのこと。
病院にはかかっているけど画像にて経過を追うだけ。
注射もときどきしていたとのこと。競技復帰に向けて、もっと何かできることがあるんじゃないかな。そんな不安の中での出会いでした。
もちろん、ニーズはケガからのリカバリーとパフォーマンス向上を目的としてです。
TFCC
診断名はTFCC。三角線維軟骨複合体損傷。
手首の小指側の損傷でゴルファーには多い障害です。
MRIなど画像診断の結果、どれくらい負荷をかけることができるのか。
どのような使い方をしていくべきなのか。
患部の手関節に関する考察を行いました。
ケガした部位は、構造的に破綻しているならばそれは元に戻らない不可逆的な変化です。
損傷した部位をどのように使ってプレーしていくか、また選手の能力を最大限活かすことのできるカラダ作りを行いました。
週1回。ケアとエクササイズ。
目標は賞金王です(笑)
図 引用サイト https://pathologies.lexmedicus.com.au/collection/
活動について
基本的には週に1回、2時間程度。
トレーニングとケア。
ケアといっても、カラダの動き(関節の動き)を確認するようなもの。
リラクセーションのようなマッサージはほぼしていません。
選手の動きの特徴を把握するために、しっかり動きを確認しました。
たまにはコースをまわってもらったこともありましたか。
環境が違うと新発見があるもの。
びっくりしました。
打ちっぱなしでフォームチェックするじゃないですか。
コースに出ると、足場は決して平らではないんです。
ゴルフのような微妙な調整が必要なスポーツにとっては、足場が安定しないところに
いかに対応するか。身体を支える基底面が違うとカラダの動きはまるっきり違うものになってしまいますので。打ちっぱなしで練習することがスコアに直結するものではないのかな。
でもスタンスを変えながらもうまくボールを打つもんですね。
さすがプロって感じです。
そんな中でも動作の不具合を見つけて修正するのが仕事。
しっかり分析させて頂きました。
ただ、私はゴルフができません。
なのでフォームに対してあーだこーだいうつもりは毛頭ございません。
先週のフィーリングを聞いて、ゴルフ的に理想のフォームを聞いて、
それとともに解剖学的、運動学的に理に適う動作を選手と追及するようにしています。
選手個々の骨格も筋肉も違います。長けている動作も。
では、教科書に載っている動作を教えても…ね~
勝手な感じ方ですが、競技特性と文献で書いてありますが、実際選手と一緒に感じたこと。
それが大事だと思います。同じクラブを振ってボールを打つ。
その動作でも個体差があって、カラダの動きは千差万別。
それを短い文章で“競技特性”を述べる。それだけで全てわかったようにいう。
これは選手のためにはならないですね。
手関節に関して
ずいぶん機能障害がありました。拘縮している状態です。画像では軟骨面に昔損傷したような影もありましたので、そこの部分が当たって痛いのか。慎重に動き作りを行いました。
「高校生の時から左肩だけ硬かったです」
肩甲骨、肩甲上腕関節の動き。もしかしたら昔からの動きにくさがあったのかもしれませんね。筋肉が硬化しているということは、動きに滞りがあるということかと思います。
伸び縮みしてなんぼの組織である筋肉、柔らかく力強く収縮する方がいいに決まってます。
手関節のケガ、それが長い月日を経て、身体の動きに影響を与え続け、
動きの偏りを生じてしまう。
もちろん、傷んでいる部位の使い方を考察すると、「動きの偏り=悪」
ではない。患部を考慮するということはそういうことかなと考えます。
股関節
ゴルフのショットで重要な重心移動。いいきっていいのかな?
一流選手はそうしてます。
重心移動…してないシニアゴルファーいますね。
できれば、ボールをインパクトするところまでしっかりパワーをためて持っていきたいとこと。
テイクバックとフォロースルーまでの間で重心の位置は当然移動します。
移動がクラブの軌道に悪影響を与えるようであれば、それがフィジカル要素であればその改善はお手伝いできるかなと思って、アプローチしました。
当然、こんな風にフォームをした方がいいなど言えないですよ。
だってゴルフ下手ですもん(笑)
あくまでフィジカル要素の検討です。ずいぶん選手にゴルフのこと教えて頂きました。
サラリーマン時代にはゴルフもやっていましたが、楽しくなかったんです。
気を使って!いまはすごいマニアックではありましが、ゴルフを診ることができます。
今まで気付かなかったことがわかるようになりました。
カラダのことですけど。
こんなことがありました。
ある日のセッション。
「では素振りしてみましょうか」
ブン!ブン!
「あれっ 後ろ(テイクバック)が狭くなってません?」
??
動画を比較して分析(結構動画で記録しているので簡単)
確かに!
毎週毎週セッションを繰り返すことができれば、このようなことも可能。
ちょっとした変化も見逃さない。なので弊社のコンディショニングは定期的に受けた方がプラスアルファの効果がありそうです。
独自の指標で分析、その結果を提案させて頂きます。
それから土曜のように動き作りをしていくかは、選手とともに作り上げていきます。
その選手の身体も把握でき、基本動作も安定してきた最中、突然の引退宣言。
マジですか⁈
会社を継ごうかと…苦渋の決断だったと思います。
カラダも調子よかったですし。
働きながらゴルフは続けるらしいので、またゴルフ教えてもらおうかな。
週1回のセッションを追える話をした日。
「実は先日ベストスコアでたんです。63!」
そんなものなんでしょうね。ゴルフは。
それから1ヵ月ほど経ったでしょうか。
「ゴルフの記事(このこと)書いてもいい?」許可をもらおうとメールしました。
「全然大丈夫ですよ!この前、小さな試合で優勝しました!ツアーに参加している選手も出場していたのでうれしかったです!」
なんですと⁉優勝ですか⁉
そんなもんですかね。ゴルフって。
本格的な仕事が始まると、彼もゴルフをする機会が減ります。
せっかく作ってきたんですけど…
一緒に作ってきた結果は出てそうですね。
今回で、ゴルフという競技の一部分を垣間見ることができました。
まだまだ奥が深い競技だと思いますが、お困りのゴルファーのみなさん。
日ごろの取り組みに、一つアクセントをつけることができるかもしれませんよ(笑)
いい経験をさせてもらいました。ありがとう!
突然の引退宣言には、彼女にふられた感じの衝撃でしたが、喧嘩別れしたわけでもないし。
また賞金王を目指すときにはぜひ一緒に(笑)