理学療法士をしています。
「なんでも治します」といいたいところですが、治せません。
ケガする前に戻れるなら、そうしたいところ。
でも、神様ではないので、そうはならないですよね。
仮に「治す」ことができるとしても、それは症状を軽快させること。
カラダはケガする前と同じではないと思います。
理学療法士
そもそも理学療法士とは何か?
理学療法の治療対象は「機能障害」。
損傷部位ではないのです。
なので、コメディカル。すなわちメディカルではないということ。
靭帯を損傷して、リハビリで靭帯を修復されるということではなく、
靭帯の修復方法は医師が判断し手術か固定して治すか方針をたてます。
そのあと、生活に、スポーツに復帰するために理学療法士が機能を戻すことをします。
患部の治癒過程を邪魔することなく、身体を整えるということ。
以前は神がかったトレーナーさんがいて、「前十字靭帯をくっつけてくれるらしい」と選手が遠くまで行ったような…迷信ですけど…たぶん
いや、いや治ったよ!
「腰椎椎間板ヘルニアを治してもらった」
物理的に機械的刺激、電気治療器刺激を使うので、
「手で出ているヘルニアを押し込んだ!」
なら、治せるかも(笑)
今回は脳血管障害ですが、そんな機能障害を探してアプローチした話をします。
脳血管障害
脳梗塞と脳出血。大きく分けると2つの場合があります。
それぞれの状況に応じて、脳の損傷に伴い、症状が出ます。
損傷した脳の部位によって、手足に麻痺が残ってしまいます。
筋肉や関節の疾患ではないので、それらの運動器は患部外です。
痙性麻痺。
痙性とは、脳から下位の神経の抑制がとれ、神経が過剰に反応してしまう状態。
これは、理学療法士が治療対象とはなかなかならない。
脳の損傷で決まってしまうので。
その他の症状は、筋肉の柔軟性低下、関節の動きにくさが治療対象になるのかもしれません。
機能障害とは
『機能障害とは、身体の構造または生理的・心理的機能の喪失または異常のことである。
機能障害分類は主要には身体、身体の一部または身体システムのレベルでの喪失や異常に関連している。組織、細胞、細胞の部分または分子のレベルの問題は含まない。機能障害はその基礎となっている病理と同じではなく、その病理の表現である。機能障害の焦点は身体のレベルであるので、多くの機能障害は症状や兆候によって定義される。これは健康状態に関連した諸帰結の完全な記述をするためには必要なことである。しかし機能障害は病気の診断とは異なる。』
参考サイト:障害保健福祉研究情報システム https://www.dinf.ne.jp/index.html
はっきり”病気とは異なる”と書いてあります。
簡単にいうと、関節が動きにくい、筋肉が働きにくいなど。
関節が動かない、筋肉がやせているもその一つ。
専門的になりすぎてしまいますので、割愛しますが、その他にも様々な機能障害があり、
評価の仕方によって、様々なアプローチがあるように思います。
今回の症例では、脳へのアプローチではなく、その他の機能、筋肉の状態、関節の状態など運動器に対してアプローチしてみました。
身体機能がどれだけ残存しているか
発症から、数年たって、デイサービスを利用していたのですが、
マッサージして集団で体操をしていたそうです。
ご家族から「ずっとこのままなのでしょうか」
現在の動き(今回は歩行)をそのまま続けて、
体力を維持することも大切です。
なので、デイケア、デイサービスで行う活動も絶対たいせつなこと。
歩く中で、ご自身でもっといい歩行を習得する方もいるかもしれません。
が、脳血管障害では、より強く働く部分とそうでない部分の差が、大きくなっていってしまいそうな印象があります。
だって、身体の都合のいいように動きますから。
そんな中で、動きの質は変えられない。
もし仮に、まだまだ身体の機能として可能性があるのであれば、
それにチャレンジしてもいいのかもしれませんね。
そこで、業務委託でお邪魔している医療施設でアプローチ。
動画は、1回目のリハから一週間後の歩行です。
「杖もなく、屋外も歩けます。」
転ばぬ先の杖ではないですが、まだ手に持って頂くことにしました。
歩行速度もそうですが、麻痺側である左側への重心移動が円滑になってきました。
それからそれから、約2ヵ月後。
何ができるかわかりませんが、
機能障害を追いかけてみる!
そんなことができるトレーナールームが久留米にあります。
決して、治しません(笑)